手すり考  手すりについて考える     金森建設のHPへ


ブログ「手すり考」

  「手すりを見たことありますか?」と聞かれて、見たこと無いと答える人は少ないと
思います。
毎日外出している人で、ほとんどの人は1日に1回は意識しなくても目にしているでしょう。
手すりは住宅はもちろん街の中、駅、施設、公園、バス、電車の中等、いろいろな所に
あります。

 

なかには、壁やフェンスだけれども「手すり」としての機能も合わせもっているものも
あります。家具の場合もよくあります。
ひと口に手すりと言っても、数多くの種類があり使い方も様々です。

 「手すり」という言い方は手を「摺り」ながら使用するために、そういう言い方がされたのだ
と思われますが、実際には「摺る」よりも「握る」という使い方をされる場合も多いのではない
でしょうか。
この場合は「握り棒」とでも言うのでしょうか。
この言い方を使い分けるのは、どんな手すりを使うか選択する場合には、キーポイントにも
なるのですが、ややこしくなるのでここでは「手すり」で統一したいと思います。


 
たかが手すりと思われるかもしれませんが、材料の選択や取付工事はなかなか奥が
深いものです。使う材料の材質や形状、取付位置が誤っていると、まったく意味のない使
えない手すりとなってしまいます。
 
 例えば、階段の手すりを見てみましょう。取付の高さは、階段の踏板の先から垂直に測っ
て、75cm~85cmとか、手首の高さが良いとか言われてます。
しかし身長が145cmで腰の曲がったお年寄りが使う場合は当てはまらないかもしれません。
 
また、外部の雨ざらしの場所に、木製の何の防水防腐処理もしていない手すりを付けると、
そのうち腐ってしまい非常に危険です。
 浴室の立上り用の手すりにしても、手の握力が弱く、手も小さい人に、直径が4.5cmもある
ステンレスの手すりを付けても、しっかり握れないでしょうし、滑って危険です。


このように手すりは使用する人の身体状況、使うときの動き等を十分に把握して、そして実
際に取付前に本人がどうのように使うかシュミレーションしてから取り付けるのが望ましいと
考えます。

 しかし、使用対象者が限られている住宅ではそれでも良いかもしれませんが、一般の施設
とか街中とか不特定多数の人が使用する場合は状況が違ってきます。
この場合の取付位置とか太さ、長さは最大公約数的なものにならざるを得ないでしょう。


手すりにはどんな種類があるのでしょう。
 手すりを取り付ける場合、検討する項目は数多くありますが、大きく2つに分けることができ
るでしょう。

 ひとつは、使う人の身体状況によることです。
例えば
  ①握力はどのくらいか?
  ②手の関節の動きは
  ③左右どちらの手が使いやすいか
  ④歩行は、足の状態は
  ⑤視力は
  ⑥手すりがあるとしたら、どのあたりの位置が持ちやすいか
     
等があります。

 ふたつ目は、手すり自体の製品に関すること及び取り付ける場所のこと、つまりハード面の
事柄です。


 まずは手すりの製品にはどんな種類のものがあって、どのように選んだらよいか、について
書きたいと思います。

手すりの種類はいろいろなものがあり、日々新しい製品もでています。
選ぶポイントの項目としては、下記のものがあります。


  
① 取付の形
  ② 素材
  ③ 取付場所
  ④ 使用方法 
  ⑤ 太さ
  ⑥ 断面形状
  ⑦ 金額
  ⑧ デザイン
  ⑨ 色
  ⑩ 施工難易度、施工方法
  ⑪ 購入しやすさ


 それぞれの項目について説明しましょう。

①取付の形

    
どのような形で取付るか、全体の形のことです。
    I型、L型、斜め型、2段型、床立ち上げ型、跳ね上げ式、遮断機型 等があります。
            
          
②素材    

    
手すりの握る部分の素材についてです。
    一番一般的な木製、樹脂製、ステンレス製、アルミ製等があります。
    使用する場所に主に関係してきます。


③取付場所

    室内か室外か、また室内でも廊下とか居室なのか、水に濡れる場所なのかによって
    変わってきます。
    素材と関係します。


④使用方法

    しっかり握って身体を支えたり、引き寄せたりするのか、廊下のように手を滑らせながら
    使用するのかによって変わってきます。
    また、握るというより肘を使って身体を支える場合もあります。

⑤太さ

    手すりの握る部分の太さについてです。
    丸棒状の手すりなら、直径が35mm、32mm等が既製品としては一般的です。
    断面形状にも関係します。

⑥断面形状

    手すりの握る部分の断面の形です。
    一番一般的な円形のものの他、楕円、四角、等があります。
    また、断面形状とは少し違いますが、手すりの表面が握りやすく、指がかかりやすいように
    でこぼこがついたものもあります。

⑦金額

    一般の方からみて高額なもの、安いものといろいろあります。
    メーカーによってかなりバラツキがあります。
    安ければ物が悪いかというと、そうともかぎりません。
    大手の建築建材メーカー(松下電工、大建工業、ウッドワン、TOTO等)の物はやや高いと
    感じる方もおられるかもしれません。
    ホームセンターで売っているものは、以前は安いが強度的に問題があるかも・・というもの
    が多かったですが、最近はプロが買うようなものを売っているところもあります。

⑧デザイン

    玄関、廊下など他人の目によくふれる所はできればデザイン的にも美しいものを、 
    できれば付けたいと、思われるでしょう。
    金具などは微妙に違うデザインのものがあります。
    もちろんデザインと機能性は相互に関係してきます。


⑨色

    木製の手すりでも濃い色、薄い色と2,3種類はあります。
    水廻りの樹脂製のものも、白、アイボリーが基本ですが、淡いパステル調の色もあります。
    また、輸入品のものでは、赤、青などもあります。

    色はとかく手すりを取り付ける場所のインテリアに合わせがちです。
    しかし、場合によっては、視力の落ちている方や白内障の方には手すりが周りの色と同じ
    だと、いざという時に握れないことがあります。
    特に、浴室などは湯気で見えにくくなってますので注意が必要です


⑩施工難易度、施工方法

    施工難易度とは、手すりを取り付けるのに、日曜大工程度でできるのか、道具を含めて
    業者に依頼する必要があるのか、ということです。
    これは、取り付ける下地とか場所に大きく関係しています。
    浴室のタイルに取り付ける場合は一般の方では難しいでしょうし、ユニットバスではさらに
    難易度は増します。
    基本的には、難易度が高いほど金額も高くなります。(手間賃が)


     
施工方法とは、木のビス、ネジで取り付ける場合。タイルなどではビスが効きませんから、
    カールプラグというものを先に打ち込んでからビス止めします。
    この2種類が一番多いです。
    他にはアンカーというものを使う場合、ボンドを使う場合等があります。
    また、同じビス止めでも手すりにビスを止める穴が何箇所空いているかも手すりを選ぶ
    判断材料になります。
    特にタイル下地ですと、タイルの裏に詰まっているモルタルによってビスの効きが悪い場合が
    ありますので、一箇所しかビス穴が空いてない製品は強度的に問題があります。


⑪購入し易さ

    これはどこでも売っているのか、建材屋・金物屋で取り寄せになるのか、ということです。
    日数的な問題(急を要するとか)にも関係してきます。


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